SEO(Search Engine Optimization)とSEM(Search Engine Marceting)、どちらもWebの世界にいればよく耳にする言葉だ。SEOは直訳すれば「検索エンジン最適化」、早い話が検索エンジンの検索結果で上位に表示させるための技術である。SEMは「検索エンジンマーケティング」、検索エンジンを広告媒体として利用したマーケティング戦略である。一見言い回しは違えど、両者は結局似たようなものというイメージがある。実際様々な文献を漁ってもこの2つを明確に住み分けているものは少ない。
だが確実に、SEOとSEMは似て非なるものである。ではどう違うのか?今回はその違いをRikiyなりに明確に住み分けてみたいと思う。
始めに両者を詳しく分析しよう。
まずSEOだが、これは前述で述べた通りである。「検索エンジンの検索結果で上位に表示させるための技術」、これ以上でも以下でもない。具体的に説明するなら、検索エンジンのアルゴリズムを把握し、それに沿った対策を対象のWebへ内部的・外部的に施すことで、検索エンジンからの評価と精度を向上させようということだ。
当然サラッと言うほど簡単なものでもなく、施せば確実に効果が得られるいうものでもない。この点も勘違いされやすいので断っておくが、SEOはあくまで「最適化」であり、上位に上がるというのは結果論でしかないのである。SEOによってそのサイトがより妥当であろうと思われる順位に変わるだけであって、それが大体の場合上位へ移動するというだけの話だ。
例えば、このStudio Rikiyはオリジナルの漫画やイラストをメインとしているため、そういったキーワードに標準を合わせたSEO対策を施している。その結果これらのキーワード(「オリジナル イラスト」、「オリジナル 漫画」など)による検索結果は飛躍的に向上したが、それでも出てくるのはせいぜい2ぺージ目辺りだ。
真っ当な手段を使っての我がサイトのSEO効果はここがほぼ限界、というより適正なのである。それら検索結果の上下を見ると、きてるのはオリジナル漫画やイラストのコミュニティーやらリンク集、少なくとも知名度・重要がうちのサイトよりも高いと思われるサイトばかり。それらよりも個人サイトのうちが上位に来ることが「最適」だろうか?やろうと思えば更に順位を上げることも可能だとは思うがそれは検索結果の正当性を破壊するスパム行為である。
一般的に検索結果の順位をに上げるのがSEOとされているが、確かにそれを目的に施すものなので間違いとまではいわない。しかし「最適化」という言葉の意味を考えれば厳密には違うことを覚えておいてもらいたい。
次にSEMだが、これは一言で表現するなら「利益を追求したSEO」といったところか。
ショッピングサイトにいかに検索エンジンからお客をサイトに導き、いかに購入ボタンを押させるかを考えること、それがSEMなのである。
特定のキーワードに対して検索エンジンで上位に表示されようがSEM観点からはそれ自体何の意味も持たない。そのキーワードで検索している人間がいなければ絶対に利益には結びつかないからだ。
SEMはまずそのキーワード選定から始まる。売ろうとしている商品を求めているユーザーがどんなキーワードで検索をかけているかを調査し、そのキーワードに対してSEOを施す。これによって商品に興味のあるユーザーをサイトまで誘導できたら次はそこからいかにユーザーの購買意欲をかきたてて購入に結びつかせるかというプロセスを考える。つまりはコンテンツの充実度と魅力の向上だ。これにはデザイン性やユーザビリティといったSEO以外の技術も必要となってくるだろう。
そうした過程を経て、検索エンジンを起点に商品が売れて初めてSEMは成功と呼べる。
もう両者が全く違うものであるということはおわかりだろう。
SEOとSEMはそもそも目的が違うのである。極端な話、SEOとはあるキーワードに対して検索結果で上位に押し上げるテクニックそのもののことを指す、SEMの1プロセスという考え方もできる。
違いが分かってしまうと「業務内容:SEO」という業者に首をかしげてしまわないだろうか。まぁ実際やっているのはSEMなのだろうが、その住み分けすらできていない方々に仕事をお願いするのは何とも心元無い。まぁこれは技術者観点からの見方なので、一般的にはSEOという言葉のほうがメジャーだからそう明記した方が普通はとっつきやすくていいかもしれないが。
少なくともRikiyは、SEOをやれと言われたら即答できるが、SEMをやれと言われたら相当の覚悟を持って返事をするだろう。
(2005年2月26日)