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アレグリア2 東京公演

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ALEGRIA2

コンサート・ライブ、演劇、サーカスといった人が自分の体を張って見せる芸術というものがRikiyは大好きである。それはいくら金を積んでも手に入るものではない尊さがあるからかもしれないし、自分もまた、少なからずやそういう業界に身をおいて共感する部分が多々あるからかもしれない。

「アレグリア2」シルクドソレイユのサーカスとしては2000年の「サルティンバンコ2000」、一昨年の「キダム」に続いて3度目の観覧となる。

「アレグリア」というのは「歓喜」という意味らしい。今回に限らずシルクドソレイユのサーカスの名称はすべて作品名だ。サーカスを作品と呼ぶところにシルクドソレイユが他のサーカスと一線を画す理由だとRikiyは考える。
サーカスといえば芸を観るもの、見せるものという認識が一般的だがシルクドソレイユのそれは音楽、演劇、演出、ありとあらゆる芸術的要素を取り入れた総合エンターテイメントに近い。Rikiyの見方が偏っているのかもしれないが、例えば狭い舞台(リング)の中でダイナミックに様々な芸をみせる大仕掛けな舞台装置だったり、ストーリー性を持たせることで観客を芸に引き込む演出、表向きよりもそういう裏方の努力がみえる部分に目がいってしまい、また目を見張ることが多かった。

他作品と比べて今回の「アレグリア2」の大きな特徴だと思うのは音楽性の高さである。
芸の間流れている音楽が全て生演奏であるというのがシルクドソレイユ作品全てに共通することなのだが今回はそれに生歌がついた。「ホワイトシンガー」と呼ばれるメインの歌い手と「ブラックシンガー」と呼ばれるコーラスの歌い手が公演中の2時間、歌い続けて舞台を演出する。音楽、歌、芸、この3つが見事にかみ合い、さらに演劇的要素が強くなっている。
演劇的要素を語るにもうひとつ注目すべきが、演目中常に舞台上にいる「芸を観ている」芸人だ。普通のサーカスではまずお目にかかれないであろう彼らは、作品中のキャラクターという位置づけで作品の「ストーリー性」を演じているのではなかろうか。

非常に細かいところまでまさに「芸」が行き届いているが、やはり純粋に芸を楽しむのがサーカスの楽しみ方の王道というもの。そちらについての感想を演目順に述べてみる。

[ニュー・シンクロ・トラピス]
「トラピス」というのはいわゆる空中ブランコのこと。普通はソロがみせる芸らしいが、この作品中ではそれを男女2人でみせる。ローテーションによってはソロのときもあるらしいが運良くペアを観る事ができた。
盛り上がり方がわかりやすい演目で、こぎ始めてからスイングが全開になるまでは特に大したこと無い気持ちで眺めていましたが、そこから先はすごかった。すこし「おっ」となる芸から順々に最後は「ウオ~ッ!」となる超大技までブランコ上で飛んだり回ったり。技そのものもさることながら客の心理をつかんだ技の組み立ては見事だった。作品最初の演目としてはまさに「ツカみはOK」といったところである。

[スーパー・パワー・トラック]
集団のトランポリン芸。今回は十字に交差した二枚の長細いトランポリンに芸人が飛び込んでいくという非常ににぎやかな演目だ。2箇所の始点からで中心の交差点を通り対角線の終点まで目を見張るアクロバットで次々に駆け抜けてゆく。交差点で両始点からのパフォーマーが交わるのだがそれをお互い絶妙のタイミングでスルーするのが見ていて気持ちよい。マットの長さを正確に把握して、端ぴったりできれいに着地できる距離感はすごいなぁと思った。
あと演目の最後に、今まで周りをフラフラしていたクラウン(ピエロ)が回ってみせたのにはちょいと不意打ちを食らった部分だ。ニクい演出である。

[マニピュレーション]
リボンとフープを巧みに使ったアクト。とにかく体のどの部分でもフープを何本でも回しまくる。ダイナミックというよりも美しく華麗という言葉がぴったりだろう。芸自体の美しさもだが、フープの光を乱射する素材でできているようで、様々な色のスポットライトの光を反射してまるでフープ自身が7色に輝いているかのように見え、それがより技を引き立たせている。演出家の工夫が最も伺えた演目だ。

[フライング・マン]
ロープで空中を飛び回るという演目なのだが、正直今回の演目の中ではイマイチな感があった。もちろんやっていることはすごいのだが、空中でのパフォーマンス性ではトラピスなどから比べると盛り上がりに欠けている気がしてしまい自分の中にそれほど感動が生まれなかった。この演目は「エアリアル・キューブ」というアクトとローテーションなのだがそちらも見てみたかった気がする。

[クラウン]
派手なアクロバットが人々に驚きと感動を与えるように、クラウンは人に笑いを与える。Rikiyが密かにいつも1番楽しみにしている演目なのだが、期待を裏切らず今回も魅せてくれた。
一風変わっていたのが前半最後の「スノー・ストーム」という演目で、1人のクラウンがパントマイムで哀愁のストーリーを演じるのだがこれがホントに人をひきこむ巧みな演技で観客を魅了する。極めつけは雪を模した紙吹雪が観客席も巻き込んで吹き荒れるフィニッシュで、自分もその世界に立ち入っているのだと言う心理をあおる大胆な演出は見事だと感心した。

[ファイアー・デュオ]
女性の美しさと華麗さを表現したのが先の「マニピュレーション」、そして男の力強さ荒々しさを表現したのがこの「ファイアー・デュオ」だと思う。一言でいえばファイアーダンスなのだが、そのファイアーダンス自体の見方を変えさせられた。ジャグリングに近い感じもするがその対象が炎となるとまた趣も変わって、危険と隣り合わせという緊張感と音楽に合わせてスピーディーなリズム感にのって非常にテンションが上がってる。個人的にはお気に入りなアクト。

[スラック・ワイヤー]
これが今回「2」における最大の目玉らしい。16歳の中国人少女による緩く張った綱上での超バランス芸、地味だけどすごい。ピンと張った綱よりもはるかにバランスをとるのが難しいらしいのだがそんなの全く感じさせない。始めは綱の上で揺れたり片足で立ったりとわりと普通だったのだがだんだんとやることがエスカレートして「え、まさか…」「うっそ」と思わず声をもらしてしまった。何をしたかは秘密、自分の目で確かめるべし。いやー、人間やろうと思えば何でもできるもんだ。

[ニュー・コントーション]
いわゆる軟体芸。デュオとソロの時があるらしいが観たのはソロ。あとでパンフを見て知ったのだがコントーションはモンゴルの伝統芸能らしい。パフォーマーであるそのモンゴル人少女はとにかく曲がる。漫画などではそういう姿を幾度と無く見ているが直に見るとやはり違うものだ。正直あそこまでいくとすごい通り越して気持ち悪いくらい。でもすごい。

[ニュー・ロシアン・バー]
平均台とトランポリンを足して2で割ったようなアクト。長い太さ15センチの棒を二人のキャッチャーが担ぎ、その棒にフライヤーがのって飛び跳ねる、というものだ。キャッチャーが棒をしならせるのでフライヤーは相当高くまで飛び上がることができるがその分当然着地の難易度があがるわけで、両者の呼吸がそろわないと成功しない。
それを複数本のバーが用意され、複数のフライヤーが同時にバーを飛び移ったりとよりアクロバティックな演出に加え、終盤、少年リトルタミールを抱きかかえての宙返りという離れ技までみせてくれた。タイミングとコンビネーションが際立った演目である。

[スーパー・エアリアル・ハイバー]
作品の最後を締めくくるアクトだけあってダイナミックさとスリルはピカイチ、演技の前に大層な落下ネットが用意されることがその危険度を物語っていた。
内容はトラピスと鉄棒の複合で、6人のパフォーマーが命綱無しで天井近くの空中ブランコと鉄棒の間をアクロバティックに飛び移り回るというもの。飛んでいる瞬間、完全に空中に浮く状態になるので思わず見ている側は息をのむ、そして成功したときの大歓声。終始ハラハラが絶えなかった。最後は落下ネットに飛び降りてフィニッシュという、まさにこれぞサーカス、といった感じだ。

…だいぶ長くなってしまった。
ここまで書いておいてなんだが、というかここまで書いてきてわかったが、そもそもこんなもの文章で伝わるわけがない。やはり生で観なければ。
幸いなことに東京での追加公演が決定したようだし、興味を持った方はぜひ会場で観てもらいたい。Rikiyもローテーションの関係で観られなかった演目のためにもう1度行こうかと検討中である。

アーティストの端くれとして、この感動の何百分の1でも人に与えられる作品を作りたいなぁ、などと思う今日この頃。

(2005年1月25日)


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Presented By Rikiya Takazawa