最近イー・モバイルを購入したことに伴い、今まで利用していたWILLCOMのAirEDGEを解約しようと思うのだが、せっかくなのでその前に両者を比較検証してみたいと思う。仕様上はあらゆる面でイー・モバイルが上回っているが、実測値においてどれくらいの差があるのかは興味をそそるところだ。購入を検討されている方の参考になれば幸いである。
サービス内容と仕様
まずはサービス内容と理論上のスペックから比較してみたいと思う。
下記は今回検証する両者のサービス内容及びスペックだ。
キャリア | イー・モバイル | WILLCOM |
---|---|---|
機種 | ||
D01NX(ネットインデックス株式会社) | AX420S(セイコーインスツル株式会社) | |
プラン | データプラン + 年とく割・新にねん | ネット25[4x] + 年間契約割引・マルチパック | 通信速度 | 下り:3.6(7.2)Mbps 上り:384kbps | 下り:128kbps 上り:128kbps | 無料パケット | 無し(無制限) | 25時間(超過時10.5円/60秒) |
月額料金 | 4,980円(割引非適応時:5,980円) | 2,952円(割引非適応時:5,400円) |
さすがというかやはりというか、個人的に総合的な評価はイー・モバイルの方が高い。
価格(これもプラン次第だが…)とエリアの広さにおいてWILLCOMにも分はあるが、コストパフォーマンスで考えてしまうと比較にならないし、少なくともRikiyの主要活動範囲は現状どちらもカバーされているのでエリアについてのアドバンテージはほとんど無いと言える。
実測値検証
では実測値ではどうだろうか?
下記は以下計測環境にて両者の通信速度を各10回ずつベンチマークした結果である。
計測環境
- 計測場所: Rikiy自宅(神奈川県横浜市内)
- 計測機種: SONY VAIO type U VGN-UX90PS
- 計測サイト: ブロードバンドスピードテスト(回線速度・通信速度測定診断サイト)
計測結果
キャリア | イー・モバイル | WILLCOM | ||
---|---|---|---|---|
下り | 上り | 下り | 上り | |
1回目 | 830kbps (837kbps,104kByte/s) |
63kbps (63kbps,7kByte/s) |
23kbps (23kbps,2kByte/s) |
28kbps (28kbps,3kByte/s) |
2回目 | 850kbps (859kbps,107kByte/s) |
63kbps (63kbps,7kByte/s) |
24kbps (24kbps,3kByte/s) |
56kbps (56kbps,7kByte/s) |
3回目 | 710kbps (718kbps,89kByte/s) |
69kbps (69kbps,8kByte/s) |
44kbps (44kbps,5kByte/s) |
47kbps (47kbps,5kByte/s) |
4回目 | 890kbps (898kbps,112kByte/s) |
540kbps (542kbps,67kByte/s) |
22kbps (22kbps,2kByte/s) |
60kbps (60kbps,7kByte/s) |
5回目 | 1.0Mbps (1.00Mbps,125kByte/s) |
420kbps (420kbps,52kByte/s) |
54kbps (54kbps,6kByte/s) |
51kbps (51kbps,6kByte/s) |
6回目 | 990kbps (996kbps,124kByte/s) |
510kbps (512kbps,64kByte/s) |
23kbps (23kbps,2kByte/s) |
110kbps (111kbps,13kByte/s) |
7回目 | 410kbps (417kbps,52kByte/s) |
71kbps (71kbps,8kByte/s) |
41kbps (41kbps,5kByte/s) |
56kbps (56kbps,7kByte/s) |
8回目 | 700kbps (703kbps,87kByte/s) |
65kbps (65kbps,8kByte/s) |
23kbps (23kbps,2kByte/s) |
54kbps (54kbps,6kByte/s) |
9回目 | 970kbps (977kbps,122kByte/s) |
63kbps (63kbps,7kByte/s) |
24kbps (24kbps,3kByte/s) |
56kbps (56kbps,7kByte/s) |
10回目 | 990kbps (999kbps,124kByte/s) |
63kbps (63kbps,7kByte/s) |
26kbps (26kbps,3kByte/s) |
41kbps (41kbps,5kByte/s) |
平均値 | 834kbps (840kbps,104kByte/s) |
192kbps (193kbps,23kByte/s) |
30kbps (30kbps,3kByte/s) |
56kbps (56kbps,7kByte/s) |
パフォーマンス | 23% | 50% | 23% | 44% |
全体的にはほぼ理論値に基づいた結果となった。
気づいた点として挙げられるのは両者とも下りよりも上りのパフォーマンス(実測値/理論値)が高かったこと、そして下りのパフォーマンスがほぼ同じであったこと程度だろうか。
一見するとADSL並の値を叩き出しているイー・モバイルの圧勝と思いきや、実はあながちそうでもない。下りはともかくとして、イー・モバイルの上り速度の現状最大理論値は384kbpsだがWILLCOMには512kbspというプランがあり、パフォーマンスから想定すると約225kbpsとイー・モバイルを上回る。月額料金も大きく上がりコストパフォーマンスは著しく低下するものの、技術的にはWILLCOMにも有位点はあるようだ。
総括
結果として期待通りのパフォーマンスを発揮したイー・モバイルのすごさを再認識することとなったわけだが、これもある意味ではRikiyの主観でしかない。
例えばイー・モバイルは「通信速度」こそすばらしいが価格は決して安価とはいえない。Rikiyのようなヘビーユーザーはともかくとして元を取れるほど使用するかと言えば甚だ疑問である。また速いに越したことはないものの、通常のメールチェックやちょっとしたブラウジング程度ならばWILLCOMの速度でも十分実用レベルだ。価格重視のライトユーザーならばWILLCOMを選んだ方がメリットは大きい。
要はニーズによりけり、というわけだ。
またWILLCOMは既に次世代PHSシステムの実用化に取り組んでおり、これが実現すれば実測20Mbpsでの通信が可能になるという。
イー・モバイルの牙城を崩す日も遠くはないだろう。
今後も激化してゆくであろうモバイルブロードバンド争い、一体どこまで速く、そして安くなるのか…。
いちモバイルユーザーとしては大いに期待したい。
(2008年1月18日)
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