先日あるサイトで興味深いレポートを見つけたので抜粋させていただいた。
Webサイトで困ってしまうことランキング
順位 | 個人サイト | 企業サイト |
---|---|---|
1位 | 画像が多くて、重い | 情報が数ヶ月間更新されていない |
2位 | ポップアップがどんどん開く | 画像が多くて、重い |
3位 | アフィリエイトバナーがたくさん貼られている | 「準備中」のコンテンツだらけ |
4位 | 「準備中」「作成中」のコンテンツだらけ | リンク先がPDFファイル |
5位 | なにかあったら音が鳴る | トップページからオールFlash |
6位 | よく分からないプラグインを勝手にインストールしようとする | ポップアップがどんどん開く |
7位 | リンクが切れているところが多い | 情報が多すぎで探している情報にたどり着けない |
8位 | なんのためらいもなくPDFファイルへのリンクが貼られている | 商品一覧などの一覧ページがない |
9位 | トップページからFlash | 突然音が鳴る |
10位 | 目に優しくない背景色(黄色や赤色など) | 問合せ先が明記していない |
11位 | 過激な主義・主張(差別、原理主義的な思考など) | サイトを見ても何を伝えたいかがわからない |
12位 | マウスカーソルになにかキャラクターがくっついてくる | 商品の詳細情報がない |
13位 | 文字が小さすぎる/大きすぎる | ブラウザのサイズを勝手に変えられる |
14位 | ブラウザのサイズを勝手に変えられる | サイト内検索が出来ない |
15位 | サイトを見ても何を伝えたいかがわからない | 会社案内の地図がわかりにくい |
16位 | 右クリック禁止 | 目に優しくない背景色(黄色や赤色など) |
17位 | エイプリルフールネタは「サイトを閉鎖しました」「管理人は死亡しました」 | 全体的に文字が小さい |
18位 | ほかのページが新規ウインドウで開く | 公式ブログがスタッフの内輪ネタばかり |
19位 | 機種依存文字を多用している | 右クリック禁止 |
20位 | 個人の顔写真、タレント写真など無許可の画像を掲載 | サイトメニューが英語で書いてある |
goo調べ 集計期間:2008年5月21日〜2008年5月23日
まぁ誰もが1度は思ったことがあるであろうという内容だ。
個人サイト企業サイト共に若干の順位差はあれど半分以上同じような点が挙げられている。こういったことというのは制作側のちょっとした配慮で改善されるものが多い。特に両サイトに共通した事項は本当に基礎的な事だったりする。
ここで重要なのは両サイトで挙がった違う項目だ。
該当する項目を太字にしてみたのだが、これを比較すると個人サイトと企業サイトの違い、そしてそれぞれに求められているものというものが見えてくる。
例えば個人サイトの3位の「アフィリエイトバナーがたくさん貼られている」や17位「エイプリルフールネタは「サイトを閉鎖しました」「管理人は死亡しました」などは、個人サイトならではだろう。
これは結論から言ってしまえば個人サイトと企業サイトの目的とモラル意識の差違から生じる問題だ。
企業サイトの場合、直接的間接的その他内容は様々形はあれど、つまるところ自社の利益目的にサイトを運営する。故に営利目的であるアフィリエイトバナーが貼ってあってもそれを「困ってしまうこと」として捉えることも少ないであろうし、企業側もそれがイヤらしくならないよう最大限の配慮をする。エイプリルフールネタについても、こんな過激なことをするサイトそのものがないというだけの話だろう。
一方で個人サイトはその運営目的が実に様々だ。単純な自己表現・自己満足のためであったり、他者との交流の場であったり、お小遣い稼ぎなんて方もいるだろう。
ところがこれらの目的意識が曖昧な、特に「非営利目的」「営利目的」が混同したサイトが実に多い。
その典型が「ブログ+アフィリエイト」だ。一概には言えないが、個人用途の場合その内容は大半が日記に近いものであろう。これ自体は単なる自己表現・自己満足、要するに「非営利目的」なわけだが、アフィリエイトは完全な「営利目的」だ。
人間の心理的に、この組み合わせは見せ方によってはとてもイヤらしく映る。
同様のことをしても企業の場合そもそも「営利目的」前提という一般認識がある分そうでもないが、個人の場合、会話に例えるなら普通に世間話をしていて突然「ところでこんな製品があるんだけどどう?」みたいな話に持っていくようなものであり、よほどうまいことやらない限りはユーザーにとってはまさに「困ってしまう」印象を与える要因となってしまうだろう。
難しい話だが、今回の結果はそういった状況の裏付けではないだろうかとRikiyは考えている。
そういう意味で企業サイト側のランキングは非常に読み取りやすい。
1位の「情報が数ヶ月間更新されていない」などはもうそのままだろう。企業サイトにおいては「更新作業」いかに重要視されているかということである。そしてこれが問題として挙がると言うことは世の中に更新されていないサイトが数多く存在していると言うことの裏付けでもある。
8位「商品一覧などの一覧ページがない」、12位「商品の詳細情報がない」からは商品やサービスにおいてユーザーは一覧と詳細の両方を求めているということが読み取れるし、14位「サイト内検索が出来ない」などが挙がると言うことは、企業サイトではサイト内検索の存在意義が比較的高いことがわかる。
また18位の「公式ブログがスタッフの内輪ネタばかり」は、前述の個人サイトでの現象とは逆の事象が見て取れておもしろい。
個人サイトが「非営利目的なサイトでの営利目的要素」への批判であったのに対し、こちらは「営利目的のサイトでの非営利目的要素」への批判なのだ。
ユーザーはその企業なり商品なりサービスなりに興味・購買意欲ありきで訪れているわけで、それに関わる有益な情報を求めている。それこそ彼らに対してのアフィリエイト(もちろんサイトの趣旨にそった範囲でだが)は決してイヤらしくないだろう。
企業ブログと個人ブログの大きな違いとしてひとつ勉強になった。
最後に個人的におさえておきたいのが20位の「サイトメニューが英語で書いてある」だ。
日本語表記よりもビジュアル的にデザインがしやすいため、カッコいいデザインを意識するとどうしても英語表記に走ってしまう、というのはデザイナーならば誰もが経験があることだろう。
「比較的簡単な単語ばかりだから問題ない」「あくまでビジュアル重視」という割り切り方もあるが、個人サイトならばいざ知らず、企業サイトではこういったユーザビリティ面でのデメリットをユーザーが意識していることを十分認識したい。
良質なWebサイトとは常に「エンドユーザー志向」であるべきだとRikiyは考える。
現場においてはクライアントの要望を吸収しつついかにこの前提を実現するかがひとつ大きな課題となるわけだが、その際、クライアント説得の材料としてこういったマーケティングデータは非常に効果的だ。
今後もこういうモノには目を通すよう心掛け、レポート化していきたいと思う。
(2008年08月26日)
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